2009/01/31

嘘と夢

新宿のバー、カウントゼロで秦雅則の「グッナイ遊び言葉&おはようネオカラー」展が行われている。

遊び言葉とは、モノクロ写真の上に、ミスプリントを文字や図形に切り貼りし、全体に着彩を加えたものである。このシリーズは以前より、可笑しみ、軽みを増し、明るくなった印象を与える。それはイメージ的にという事もあるが、そこに貼り付けられた言葉の軽さからも発せられるものではないかと思う。以前は作家の現実感を捉えた言葉が多かった。今回それは、誰から発せられたのかも分からない記号に近づき、意味すらも剥奪されて単なる擬音・ビジュアルに転化され、より表面性を重視した展開となった。このシリーズは内奥に収束する点を持たない。延々とその表面に意味を拡散させる一方である。その中で行われているのは、彼の言葉を借りれば肯定と否定、ということになるだろう。自分を肯定する否定する対象を肯定する否定する。その膨大なグレーゾーンをくぐって生成する感情が両極端に突出した形で表出されているのがこのシリーズだと思う。

そして
おはよう、
ネオカラー。
朝が来た。
ここにはもはや肯定も否定もない。
艶めかしい色の世界がそこに。
グレーに着彩するのでなく、
そのものの発色を受け容れるという危うさも孕みながら。

僕たちが生身の身体ひっさげて、右往左往しながら見ているもの。
これは嘘の混じった現実なのか。
それとも色のついた夢なのか。

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