2008/09/20

I'm home

夜になっていよいよ雨が降ってきた。台風の雨。小さな傘を差して、重い荷物を背負って、駅からの長い道のりを歩く。

と、目の前を歩いていた、スーツ姿のサラリーマンらしき男が、不意に左へ折れた。そこが彼の家だったのだ。新建材の真新しい壁、車一台置くスペース、オレンジ色の電灯が表札とドアを照らしている。彼はただいまと言うだろうか。

構わず歩き続けた。そこは僕の家ではないからだ。足は無意識に進んでいくが、どこに向かって歩いているのか、皆目分からない。雨を避けるためならこの傘で十分だし、肩の荷は死ぬまで降りないことを知っている。それでも無心に、家、らしきものに向かって歩いている。

街道を二つ越え、四つ目の電灯を右に折れ、10mほど行ったあたりで鍵を取り出した。

カチリ。

今、持っている鍵でドアが開く場所が、家だ。