自由
その犬はひたすら地面を掘っている。
爪ががちがち石に当たる。
ぴんと張った鎖が彼の喉を締めつける。
ねぇ、もうやめなよ。
何か出てくるのは昔話の中だけだよ。
それでも犬は掘り続ける。
息遣いが荒くなる。
ときおり鎖がじゃらんと音を立てる。
どれくらいその営みが続いたろうか。
とうとう犬は掘るのをやめた。
頭はみじめに垂れ、尻尾はべったりと地面にへばりついている。
そらみろ、
何も見つからなかったじゃないか。
そういうのを無駄骨というんだ。
しかし、彼はすでに見つけていた。
杭を中心とする円、以外の世界を。
彼にとって自由とは、完全なる球体だったのだ。
彼は無心に眠った。
そして、一番、”何か”を期待していたのは、
ガラスに凭れかかってそれを見つめている
自分である事に気づいた。
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